リスク社会の科学教育―科学を統治する市民を育てるー

このブログは、大学で科学教育を担当している筆者(荻原彰)が、現代の巨大な科学技術を市民が適切に統治するため、科学教育はどうあるべきかを考えていくブログです

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

社会の科学化 科学の社会化

1989年11月9日、東ドイツ政府は東西ベルリン間の国境検問所を開放し、翌日、ベルリンの壁の撤去作業が始まった。この事件を契機にすでにポーランドやハンガリーで進みつつあったいわゆる東欧革命が加速し、1990年には全東欧で社会主義政権が消滅した。革命は…

「文明社会の野蛮人」と科学教育

科学論研究者の小林信一は、スペインの哲学者、オルテガ・イ・ガセットの「文明社会の野蛮人」(科学技術の産物をあたかも自然物であるかのようにみなし、科学技術の成果は享受するが、科学技術を生み出す努力やプロセスには無関心な人々)という概念を援用…