リスク社会の科学教育―科学を統治する市民を育てるー

このブログは、大学で科学教育を担当している筆者(荻原彰)が、現代の巨大な科学技術を市民が適切に統治するため、科学教育はどうあるべきかを考えていくブログです

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

疫学の考え方

1850年ごろのロンドンではコレラがしばしば流行し、多くの死者が出ていた。当時はコレラが細菌で引き起こされるということは知られておらず、瘴気(悪い空気)が原因であると考えられていた。ジョン・スノーは当時ロンドンに在住していた医師であるが、飲み…

科学的成果物の前提となる変数の同定と当該変数をめぐる議論の理解

「科学技術へのクライアントシップ」の節で「前提による議論の拘束」について述べた が、以下ではこれを「批判的に考える」という文脈の中において,変数という形で具体化してみたい。 小学校理科の伝統的教材として振り子がある.振り子の周期を決める条件…