リスク社会の科学教育―科学を統治する市民を育てるー

このブログは、大学で科学教育を担当している筆者(荻原彰)が、現代の巨大な科学技術を市民が適切に統治するため、科学教育はどうあるべきかを考えていくブログです

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

批判的に考えるー科学の方法論

本節では市民の意思決定の質を高めるために必要な要素として科学の方法論があることを述べる.とはいっても,私は,これまでの科学教育で扱われてきたような科学者の科学的探究をモデルとした方法論が必要だと考えているわけではない.科学的研究をモデルと…

問いの宛先

自然科学は自然現象をモデル化する営みである。モデルを洗練させることによって科学の予測力と現実世界への応用可能性は拡大していく。典型的な例はニュートン力学からアインシュタインの相対論への発展である.水星の近日点移動などニュートン力学では理解…

メタ的なフレーミング

「科学の社会化」の章でスチュワート・リチャーズの「科学・哲学・社会」の中の「巨大増殖炉計画はプルトニウムの頻繁な輸送を必要とするが、それは偶発的事故とテロリストの攻撃という当然の危険を伴うのである。そのために列車と原子炉用地の警戒のために…