リスク社会の科学教育―科学を統治する市民を育てるー

このブログは、大学で科学教育を担当している筆者(荻原彰)が、現代の巨大な科学技術を市民が適切に統治するため、科学教育はどうあるべきかを考えていくブログです

2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

不適切な前提を置いている立論に対しては、それについて批判的に検討しておくか、または排除する

フレーミングは「価値観の選択の問題」とすぐ上で述べたが,明らかに不適切な前提をもとにした立論の場合、それを教育の場に持ち込むと事実認識を誤らせかねない。現実世界から事実を切り取ってくるフレーミングは価値観によって異なってくるので、価値観と…

できるだけ多様なフレーミングを教室に持ちこむ

ある特定のトランスサイエンス問題は様々な価値観の下で切り取りうる(フレーミング)のであって,その問題の専門家だからといってそのフレーミングが「正しいフレーミング」であるとは必ずしも言えない.すぐ上でも述べたようにどのフレーミングを選択する…

そのフレーミング(問いの枠組み)は適切か-前提を問いなおす知性

写真は文字通り真を映す。目の前の光景をそのまま切り取る。しかし写真は光景全体を写し取るわけではない。光景の切り取り方(フレーミング)は写真家の意図に依存する。これは写真に限られたことではない。人間は神のようにある事物についてそのすべてを一挙…