リスク社会の科学教育―科学を統治する市民を育てるー

このブログは、大学で科学教育を担当している筆者(荻原彰)が、現代の巨大な科学技術を市民が適切に統治するため、科学教育はどうあるべきかを考えていくブログです

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

教師の役割転換 公共圏のコーディネーターとしての教師の役割とそれを支えるしくみ 4 第一段階その2 媒介の専門家の役割

ではこの第一段階において媒介の専門家は何を行うのだろうか,その使命は3つある。 ①カリキュラム化するトランスサイエンス問題とその問題についての議論を提供する専門家の選択 学校や市民のニーズに応じてカリキュラム化するべきトランスサイエンス問題を…

教師の役割転換 公共圏のコーディネーターとしての教師の役割とそれを支えるしくみ 3 第一段階

以下,各段階について具体的に述べていく. 第一段階(論点整理) この段階では何か特定のトランスサイエンス問題について、どのようなオルタナティブがありうるのか、その中からどのオルタナティブを選択するべきか、その根拠は何か、ということについて当…

教師の役割転換 公共圏のコーディネーターとしての教師の役割とそれを支えるしくみ 2

分量がごく少ないですが,キリがいいので教師を支えるしくみが3つの段階からなることの最初の部分を述べておきます そのしくみは次の3段階からなる. 第一段階は論点整理の段階である.媒介の専門家(現在,このように認知された専門家が存在するわけでは…

教師の役割転換 公共圏のコーディネーターとしての教師の役割とそれを支えるしくみ 1

教師への支援の必要性についてもう少し述べてみたい.一般的に言って政府見解(ここでは、各種基本計画・方針など政府から公的に発信された言説一般を政府の見解と考えておく)が教育を通じて国民へと下りてくるという構造は好ましくない。しかし現実には、…